自分の外見や能力にコンプレックスを抱えているとき、
その重荷に押しつぶされそうになった経験はありませんか。
たとえば髪が減ってきて焦る、体型が人と違って落ち込む、
あるいは性格面で人より劣っていると感じる。
そんなとき、多くの人は「どうせ自分なんか」とあきらめ気味に過ごしてしまいがち。
しかし一方で、その弱さがエネルギー源になることがあるのです。
ここでは、コンプレックスが作り出す闘志を活かすという、ちょっと変わった視点を紹介してみましょう。
たとえば、心理学でもあまり知られていない「逆境レバレッジ理論」という考え方があります。
大々的に定義づけされているわけではありませんが、端的に言うと「劣等感や苦手意識があるほど、“それを覆してやろう”という意欲が高まる」というものです。
少し突飛に聞こえるかもしれませんが、学生時代に勉強が苦手だった人が、社会に出てから猛烈に勉強して資格を取りまくったり、運動オンチと言われた人がいきなりトレーニングにのめり込んで体を鍛え上げたり、そんなエピソードはよく耳にしますよね。
彼らは、自分のコンプレックスに対して「そのままじゃ悔しい」と強く感じ、逆に火がついたわけです。
育毛の世界でも似たような話を聞いたことがあります。
薄毛に悩みすぎて外出すらためらっていた人が、ある日「このまま塞ぎこんでいられるか!」と一念発起して、本格的な頭皮ケアや医療機関での治療をスタート。
さらに睡眠や食事など生活全般を整え、髪だけでなく健康そのものを大きく改善した―という話。最初はどうしようもない危機感が原動力になっていても、いざ動き始めると努力が実を結び、気づいたら別人のように元気になっていたりするのです。
なぜこうなるのかを考えると、一つは背水の陣に似ているからかもしれません。コンプレックスがあると、自分の状態を「なんとか変えなければ」という、強い危機感と同時に、独特の集中力を生むきっかけになります。いわば“ハンデはあるが勝ちたい”という反発心。
その勢いが、普通に満足している人とは違うレベルの行動力につながるわけです。
周囲から「がんばらなくてもそこそこイケてるじゃん」と言われる程度の人は、逆にそこまで必死にならない場合が多かったりしますよね。
さらにもう一つ注目したいのが、「同じ境遇の人を勇気づけたい」という側面。
これはコンプレックスを抱える人にとって大きなモチベーションになりやすい。
たとえば髪が減ってきて落ち込んでいた人ほど、似た悩みを持つ人を見かけると「なんとかしてあげたい」と感じることが多いようです。
つまり他者貢献欲求が強まるわけですが、それがまた自分の行動を後押しするシチュエーションを生む。
言いかえれば、「みんなの代表として頑張ってみるか」という意識が一種の使命感を育てるのかもしれません。
もちろん、コンプレックスが大きすぎて逆に潰されてしまうケースもあるため、全員が全員こうなるとは限りません。
それでも、少なくとも「弱さや劣等感を抱えていることが決して不利なことばかりではない」――この発想だけでも、前向きな一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。
髪の悩みがあるなら、むしろその悔しさを原動力に、徹底的に調べたり、専門家に相談したり、体全体を整える生活習慣をつくり上げるチャンスと考えることだってできるのです。
もし今、何かしらのコンプレックスを抱えて動きづらいと思っているなら、それを逆手にとって「どうせならやってやる」くらいの気持ちを持ってみてはいかがでしょう。
コンプレックスが強いほど燃える気持ちが大きくなることだってあるんです。視点を変えてみるだけで、見えてくる景色はけっこう違いますよ。